5/11「世界の壁をこえて」 Ⅰコリント1章18-25節③

 「ユダヤ人であろうが、ギリシャ人であろうが」。旧約聖書の時代、つまりイエス・キリスト以前はユダヤ教でした。異邦人(外国人)でもユダヤ教になる人はおりましたが、そこにおいて、何よりユダヤ人のようになる、ことが求められながら、一方では神殿での礼拝などで外国人ユダヤ教徒は差別も受けておりましたし、それも認めなければユダヤ教徒にはなれなかったのです。
 異邦人伝道(このことは、単なる言葉では済みません。紀元になっても繰り返されてきたように、「伝道」という名での戦争や占領が歴史において確かにありますので。もちろん、そのような宗教をからめた政治的経済的なことではなく、「布教」と言いましょうか、個人の信念や幻を抱いて「伝道」する人々がいたのも事実ですから。あまりそれらを十把一絡げに扱ってしまうことはできません)。
 ただし、主イエスは、南ユダから見て、敵対していた北イスラエル・サマリアや周辺諸国にも足をのばしています。「そうせざるを得なかった」と記されている場合もありますが、やはり、主イエスは時に向こう岸、ゲラサ人の土地や、フェニキアに行かれたし、そこで同じように神の国の福音を宣教し、その地でも確かに異邦人クリスチャン(ここではキリストの弟子の意味)が生まれています。その事実は、主イエスの足跡をみていったパウロにも大変印象づけられたし、それがあって、パウロも異邦人伝道の幻をいただくことになったのです。加えて、特に「捕囚」以降、イザヤ等が預言した言葉も異邦人伝道を行う根拠となっております。
 国境や「国際」の「際」(意味:1、とき。場合。機会。2、 物と物との接するところ)の多くは人間がつくりだしたもの。しかし、主イエスにとって、出会うべき相手、そこに何らの「際」は不必要なものでした。主イエスが主イエスとしてあるのは、ここに肝があります。主イエスの言葉は、どの時代、どの地域、どの民族でも同じように受け入れられ、あるいは拒否されていくのです。人間の心は、歴史や文化で多少の違いはあっても、うれしいものはうれしいし、悲しいものは悲しいのです。同じように感動する心、なんかすごいですね。

 コロナの悲しみも、コロナで生まれる差別も、コロナで生まれる共感も、同じ。時折テレビ等で「日本人は立派」という言葉が出てきますが、そのような評価はやばいと思います。一方で諸外国の対応がすばらしく、日本の対応(特に政治)が酷い点も訴えているのに、それらすべての観点で見ないといけないのに、そのような議論は実におかしいと思います。
パウロは語ります。「ユダヤ人も、ギリシャ人も」その言葉は「世界」(もちろん、当時パウロが描いていた世界と、今の「世界」は多少異なりますが)の人々を含むものと考えております。
 「召された者」、つまり主が呼び掛け、招いている人々、彼ら彼女らがどの民族に属しようが、男であろうが、女であろうが、どの社会的階層にいようが、主なる神は、そのような人間がつくりだす「差」や「際」を超えて、導こうとされています。
そして、キリストについて「愚かであるけれども」、そして「しるし」や「哲学・知恵」を凌駕する、「神の力」「神の知恵」と語り、「神の愚かさは人よりも賢く」「神の弱さは人よりも強い」と逆説でしか語りえない「真実」を語るのです。ああ、なんてすごい主の愚かさと知恵は、、、。
 「神の力」と「神の知恵」についてはまた次回お話します。「聖書日課」は都合により、12日、13日、14日、15日とお休みしますが、祈りの課題は記します。さきほど、FaceBookをみていたら、コロナウイルス感染が落ち着いている地域、そこで掲載されていたのは日本バプテスト静岡キリスト教会でしたが、礼拝再開の知らせがあり、希望をいただきました。

<日本バプテスト連盟加盟教会・伝道所等を覚えての祈り> 日本バプテスト連盟 清水栄光キリスト教会。静岡市清水区八坂西町1-5-6にあります。「清水」といえばすぐに漁港と魚屋さんを思い出します。この教会も行ったことがないのですが、先日召された田中仁一郎牧師の時代に教会組織をしたと記憶しております。故田中先生とは昨年の秋以来、何度か礼拝をご一緒にさせていただき、いくつもの教会に関わった先生の足跡を思い、本当にいろいろなお話を伺いたかったと、残念です。尊敬し、敬愛する諸牧師がいらっしゃること、本当に宝だと思っています。多くの牧師はその与えられた現場で、日々、悩み、喜び、地道に宣教していかれた。もちろん、弱さも抱えながら。その歴史を継承していくべきと思い、しっかり立っていきたいと思います(なかなかうまくはいきませんが)。清水栄光教会の石渡牧師のお母さまが、兵庫県にいらっしゃったとのことで、お話は聞きましたが、なかなか関わりを持てず、失礼したと思っています。祈りの課題は以下です。①伝道開始55周年・教会組織20年記念感謝礼拝(7/19予定)。②家族の救いと子どもたちと一緒の礼拝。③教会会計のために。牧師:石渡修司

2020年05月10日