「7月の讃美歌『愛のみ神にこそ』」週報巻頭言より2024年7月7日号
▲コロナパンデミック後(とは簡単に言えませんが)、ほとんどのプログラムがコロナ前に戻り、当教会礼拝でも「月の讃美歌」を再開しています。7月は新生讃美歌434番「愛のみ神にこそ」です。▲この讃美歌は歌詞、旋律ともにゲオルク・ノイマルク(1821-81)の作品。ノイマルクはテューリンゲン地方のランゲンザルツェンの貧しい家庭に生まれ、ケーニヒスベルク大学に学び、ワイマールの宮廷図書館員、宮廷詩人として生涯を送りました。ガンバ(チェロに似た弦楽器)の奏者としても知られ、多くの讃美歌を残し、中でも広く愛唱されている名曲がこの讃美歌です。▲彼は19歳の時、ケーニヒスベルク大学への旅への途中で強盗に襲われて無一文になり、学費を稼ぐために職を探し歩いている時に、思いがけず家庭教師の仕事を与えられた時の感謝と喜びをこの讃美歌に歌ったと、自伝の中に記しています。▲この讃美歌は1657年の歌集で発表されました。その歌集で「『その重荷を主にゆだねる者を主はゆたかに支えてくださる』という言葉に基づく慰めの歌」との題が附してます。参照聖句はマタイ7章24~25節<確かなる土台>、詩編37編3~5節、23~24節<あなたの道を主にまかせよ。信頼せよ、主は計らい…>、詩編55編23節<あなたの重荷を主にゆだねよ/主はあなたを支えてくださる…>、詩編62編2~3節<わたしの魂は沈黙して、ただ神に向かう。…神こそ、わたしの岩、わたしの救い、砦の塔…>、ローマ書8章31~35節<…だれが、キリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう。…>等。▲すべての悩み苦しみを主にゆだねて、日々をの歌い、祈りつつすごすという歌詞は、多くのキリスト者に慰めを与え続けて来ました。バッハ(1685-1750)も大好きだったと見えて、カンタータ(声楽曲)の中でこのコラール(ドイツ語讃美歌)を一番多く用いていますし、オルガン曲としても数多くの作品を残しています。▲ちなみに以前の讃美歌(1954年版)304番と比較してリズムは当初の形に近くなっています。「讃美歌21」454番は原詩と同様7節まであります!「教会福音讃美歌」は「讃美歌21」の訳を用いてます。新生讃美歌は4節までの歌詞で、訳出できていない点はありますが、内容的にまとまっていると感じ、7節でなく、4節で良かったと思います。<献 なおこの讃美歌の背景については日本基督教団出版局「讃美歌21略解」(日本基督教団讃美歌委員会編)から引用しています>